10月、愛知県美術館で、「曽我蕭白」展を見ました。
曽我蕭白を初めて見たのは、2019年 東京都美術館での「奇想の系譜」展だったと思います。「奇想の系譜」展では、奇想の名にふさわしい8人の作品が展示されました。
私は、その中での曽我蕭白の雪山童子図に圧倒されました。そこから、曽我蕭白の印象は、「カラフル」「子どもがかわいい」「でもグロテスク」という記憶が染みついていました。
今回は、曽我蕭白一人を堪能する展覧会です。展示の最初の方に、雪山童子図、群仙図屏風があり、グロテスクながらユーモアのある人物や鬼、鳳凰らに引き付けられました。目がいいです。動物では鷹などの鳥の目力が強いと思いました。
ポスターになっている、朝田寺の「唐獅子図」は、阿吽を向かい合わせに展示しています。大きいですし、すごく迫力があります。
ただ、意外だったのは、蕭白の絵は、年を経るにつれ、落ち着いた雰囲気になってきます。初期のカラフルさとは異なり、墨だけになってきています。画力はすごいですが、グロテスクさが薄れてきたような印象です。
そんななか、晩年の作品のうち「石橋(しゃっきょう)図」には目を引かれました。絵としては小さいものですが、断崖の上におびただしい数の獅子がいます。落ちている獅子もいます。獅子は千尋の谷に落とす、の絵のようですが、獅子はユーモラスで、でも多数の断崖を我先にと登っているところは異様で奇妙な迫力があります。色は付いていないけれど、蕭白のグロテスクさを見たような気がしました。
この絵はメトロポリタン美術館所蔵で、美術館のサイトで画像を見ることができます。
Lions at the Stone Bridge of Mount Tiantai, from The Metropolitan Museum of Art
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/53410
これを日本で見られたのは、良かったです。
曽我蕭白の作品を、蕭白の年代と共に楽しんだ展覧会でした。

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